国に対して大阪府・市と長崎県がIRの区域整備計画を国に提出しました。審査が通り認可されれば、いよいよIR開業に向けて本格的に動くことになります。しかし、長崎県が提出した資金計画に問題があると4月19日の県議会総務委員会で指摘されました。具体的な資金調達先が公表されていないのです。
長崎県のIR資金計画に不透明感
4月28日に長崎県は国に対して、IRの区域整備計画の認定を申請しました。審査が通れば2027年秋のIR開業を目指して計画が実行されることになります。
しかしこの区域整備計画における資金計画に問題があることが指摘されています。
資金計画4383億円のうち、2630億円は金融機関から借り入れるとしています。しかしその幹事銀行が具体的に決まっていないのです。外資系を中心にコミットメントレター(融資確約書)を取得しているとしていますが、その内容は議会に提示されていません。
和歌山県は資金調達の計画が不透明で頓挫
すでにIR誘致を白紙に戻した和歌山県も、資金計画が不透明であることを理由に議会が反対しIR計画は頓挫しました。事業者のクレアベストが3250億円を銀行から借りるとしながらも、そのコミットメントレターを提示しなかったのです。
再三の要求にも応えなかったその姿勢が疑問視され、和歌山県議会に「資金計画はないに等しい」とみなされました。
銀行融資以外の資金調達先も非公開
銀行融資以外の資金調達に関しても、長崎県とIR事業者のCAIJ(カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン)は調達先を公表していません。
約1400億円はCAI本社とプライベートエクイティ等運用会社、外資系事業会社などから調達予定としていますが、その内容は非公開となっています。さらに約351億円は大手国内企業や九州内企業から調達するとしていますが、その内訳も同様に公開されていません。
出資者が株価への影響を懸念している、などの理由も述べられましたが、大阪では参画する20社が公表されても株価に影響はありませんでした。長崎県議会でのチェックが甘い点も指摘されていますが、経済対策の要ともいえるカジノ誘致を白紙にしたくないという事情もあるようです。
区域整備計画を受け取った国がどのように審査するのかに注目が集まっています。