カジノ開業とパチンコ業界の未来:変わりゆく日本のギャンブル市場

Keita Maruyama- オンカジ専門家&編集長
夢洲 カジノ
カジノ開業とパチンコ業界の未来:変わりゆく日本のギャンブル市場

日本が、世界のカジノ市場に本格参入しようとしています。

カジノ施設を含む統合型リゾート(IR)の開発は、単なるカジノ建設にとどまらず、ゲーム、エンターテインメント、ホテル、ビジネス施設を融合させた一大観光拠点を目指しています。これにより、多くの観光客を国内に呼び込む狙いです。

かつては大阪や長崎が候補地として競っていましたが、近年の動向を受け、2025年1月現在では大阪が唯一の承認都市となりました。

一方で日本のギャンブルの代表格ともいえるパチンコ業界は陰りを見せています。国民全体のギャンブル消費が落ち込む中、はたして日本のカジノは成功するのか?今後の展望を考察していきます。

日本のカジノ候補地のあゆみ

統合型リゾートの開発はまだ計画段階ですが、日本国内ではいくつかの都市が候補に挙がりました。

それぞれの都市には独自の強みと課題があり、地域ごとの優先事項や世論が反映されています。

大阪(進行中)

大阪は、日本初の統合型リゾート開発に向けて前進しています。2025年1月にはカジノ開業予定地近くに大阪からアクセスできる夢洲駅が開業しました。

アメリカ大手のカジノオペレーターであるMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが提携し、夢洲(ゆめしま)に総額100億ドル規模のリゾートを建設する計画です。当初は2029年の開業を予定していましたが、現在は2030年末のオープンを目指しています。

このプロジェクトには、カジノに加え、2,500室のホテル、コンベンション施設、多彩なアトラクションが含まれます。準備工事は2024年9月から開始予定で、関西地域の雇用創出や観光産業の活性化が期待されています。

また、MGM大阪の規制枠組みも整備が進められており、2025年1月には佐藤隆文氏がカジノ管理委員会の新委員長に就任しました。開発の進行と規制の厳格な管理が求められる中、新たなリーダーシップのもとで監督が強化される見込みです。

長崎(プロジェクト一時中断)

長崎は、カジノオーストリアと提携し、ハウステンボス内に32億ドル規模の統合型リゾートを計画していましたが、2023年12月、国土交通省は長崎県のIR整備計画を不認定とし不受理となりました。その理由として、資金調達の透明性や、ギャンブル依存症対策の不十分さが指摘されています。

特に、確実な資金調達の証拠が示されなかった点が大きな問題となりました。これを受けて、大石賢吾長崎県知事は失望を表明し、国にさらなる説明を求めて、2024年1月には長崎は観光庁に「質問書」を送付しており、IR計画拡大に関する議論が続いていることが示唆されています。

今後の展開次第では、再びチャンスが巡ってくるかもしれません。

プロジェクトより撤退した都市

当初カジノ開発に興味を示した都市すべてが計画を進めたわけではありません。

横浜

横浜市は、2022年5月にIR誘致から撤退することを決定しました。

市民からの反対意見が根強く、経済効果に対する疑問、ギャンブル依存症への懸念などが挙げられました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況の悪化も、誘致断念の一因となったと考えられます。

東京

東京は、IR計画に関心は持っていたもののギャンブルの社会的影響を懸念し、候補地として正式に誘致を進めることはありませんでした。

市民からの反対意見が根強く、経済効果に対する疑問や、ギャンブル依存症への懸念などが挙げられました。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催など、他の大型プロジェクトとの兼ね合いも考慮されたと考えられます。

和歌山

和歌山も、IR誘致を進めていましたが、2022年5月に事業者の公募が不調に終わり、計画が中断されました。

事業者の応募がなかったことから、経済効果が見込めないとの判断に至ったと考えられます。

日本のパチンコ業界の陰り

カジノ開業に向けて少しづつ前進がみられる一方で、日本のギャンブル消費は、過去数十年で大きな変化を遂げています。特に日本で長らく巨大な市場規模を誇ってきたパチンコ業界において、その傾向が顕著です。

全日遊連が発表した「組合加盟店舗の実態調査」によると2024年12月時点で、国内のパチンコホールの数は6,022店舗とされており、2000年代初頭の約18,000店舗と比較すると、大幅な減少が進んでいます。

また、過去30年間でパチンコの参加人口減少に大きな変化が見られます。1995年には約2,900万人だったのが、2024年には660万人まで減少しました。かつては幅広い年齢層に親しまれていたパチンコですが、近年は特に若年層のプレイヤーが減少しています。

これは、スマホゲームやオンラインギャンブルの台頭により、パチンコ以外の娯楽の選択肢が増えたことが大きな要因とされています。

パチンコ人口 (万人)市場規模 (兆円)
1995年約2,900約30.9パチンコ全盛期
2014年約1,150約24.5競馬・宝くじは安定、パチンコ衰退傾向
2019年約890約20.0若年層の参加減少、規制強化
2021年約710約14.6コロナ禍の影響
2024年約660約15.7スマスロ人気、前年比増加

全体としてギャンブル市場は縮小傾向にありますが、特定の分野での需要増加や新たな取り組みにより、一部回復の兆しも見られます。

日本のカジノ開業とパチンコ業界の関係

こうしたパチンコ業界の縮小が進む中、日本政府は新たなギャンブル市場として統合型リゾート(IR)を推進しています。

IRは、カジノを中心にホテル、ショッピングモール、コンベンション施設などを併設した大型リゾート施設で、観光産業の振興を目的としています。

ターゲット層の違い

パチンコは主に国内のプレイヤーをターゲットにしているのに対し、IRは海外からの観光客を主要な顧客層としています。

特に中国や韓国などの近隣諸国からの富裕層を誘致し、日本経済に貢献する狙いがあります。

ギャンブルの合法化とカジノの影響

日本では長らくカジノを含むギャンブルが厳しく規制されてきましたが、2016年の「IR推進法」と2018年の「IR整備法」の成立により、一定の条件のもとでカジノが合法化されました。

これにより、パチンコ業界もカジノ産業への参入を模索する動きが見られます。実際、パチンコ企業の中には、IRへの投資を検討する企業も出てきています。

パチンコ産業の変革

カジノ産業の台頭により、パチンコ業界は独自の生き残り策を模索しています。

例えば、従来のパチンコ機に代わり、デジタル技術を活用した新たな遊技機の開発や、外国人観光客向けのエンターテイメント施設への転換を進める動きが見られます。

まとめ

パチンコが国内市場向けに規制されているのに対し、政府はフルスケールのカジノを国際観光客向けの経済振興策として捉えています。

そのため、日本のパチンコ衰退がカジノとは直接的な関連は少なく、成功に大きく影響するとは考えにくいと思われます。

パチンコ業界がこの流れにどう適応し、新たなビジネスモデルを構築するかは気になるところです。大阪のIR計画が進行する中、カジノが日本のギャンブル産業に与える影響は今後さらに大きくなるでしょう。

Keita Maruyama- オンカジ専門家&編集長
ライター紹介

Keita Maruyama- オンカジ専門家&編集長

丸山けいた

丸山けいたは、20代の頃から海外のオンラインカジノ運営会社で幅広い業務に携わり、豊富な知識と実務経験を積んできました。その後、これらの経験をさらに活かし、『オンカジナビ』の編集長として就任。

オンラインカジノ業界の最新情報や信頼性の高い有益な情報を読者に届けることを使命とし、日々真摯に取り組んでいます。

プライベートでも熱心なカジノプレイヤーであり、特にポーカーやブラックジャックを好んでプレイしています。近年ではエボリューションのライブショーにも魅了され、楽しむ時間を大切にしています。カジノへの情熱と豊富な知見をもとに、読者にとって価値のあるコンテンツを提供し続けることに情熱を注いでいます。

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