ポーカーでは「適切なベットサイズを選ぶ」ことが勝利するための鍵となります。
ポーカーは、「ポットオッズ」と「勝率による期待値がプラスの時」に勝負をすることが重要な戦略ゲームで、相手の強さを推測しつつ、ポットサイズをコントロールすることが必要になります。
しかし、明らかに強いポーカーハンドを持つ相手との勝負は避けたいものですし、なにより負けた時の損失が勝った時の利益より大きくなるとチップは増えません。
相手のハンドレンジを狭めたり、ポットサイズを調整するために「適切なベットサイズの選択」が重要となるのです。
この記事でわかること
ポーカーでのベットサイズ(ベットする金額)を決めるためのルールは以下のようになります。
それぞれ詳しく説明していきましょう。
ポーカー(特にリングゲーム)ではハンドの強さや心理戦よりも勝率とポットオッズによる「期待値」を優先するのが現代の戦い方です。
リングゲームはプレイヤー同士がチップを奪い合うキャッシュゲームのことですが、参加費を支払うトーナメントゲームでは「負け=敗退」につながることもあるため心理戦も重視します。
勝率とポットオッズによる期待値を重視する理由は、期待値をプラスにすれば何千何万ハンドとゲームを続けることで、確率的にチップが増えることが期待できるからです。
ポットオッズは自分がベットしたチップに対して獲得できるポットの割合です。たとえばポットに10ドルあり、ヘッズアップ(1対1のこと)で相手プレイヤーが3ドルをベットし自分がコールすると、ポットオッズは次のようになります。
(10+3+3)÷3=5.33(倍)
この場合、勝率が1÷5.33×100=18.76(%)を超えると期待値が「1」を超えます。
つまり同じシチュエーションでコールを続ければ、長期的にはチップが増え続けることが期待できるということです。
ベットサイズを決めるにあたり、自分のハンドの勝率を常に意識することが必要です。
オンラインポーカーでは長考するプレイヤーがいますが、ツールを使って勝率を計算している可能性があります。何千何万ハンドとプレイを重ねれば、感覚的に勝率がわかるようになります。
ただし期待値がプラスでも、損益がバラバラではチップの増加につながるとは限りません。そこで必要となるのがポットサイズのコントロールにつながる「適切なベットサイズの選択」です。
ベットサイズは自分のハンドの強さやスタック(手持ちのチップ)量に応じて決めず、ポット金額を基準に決めます。ただしプリフロップではBB(ブラインドベット)が基準になります。
たとえばポットサイズに対して「何倍」あるいは「何パーセント」とシチュエーションにより決めておきます。
これは相手プレイヤーに対して自分のハンドを推測させないことにもつながります。またポットオッズを一定にすることで、コールあるいはレイズする相手プレイヤーのハンドレベルを推測しやすくなります。
バリューベットとは自分のハンドが相手よりも強いと推測できる時に、ポットをできる限り大きくする目的のベットです。
たとえばプリフロップで「AA」のハンドとなり、オールインしてしまうとほかのプレイヤーはみなフォールドしてしまうかもしれません。これではせっかくのプレミアハンドを生かせず、獲得できるチップが少なくなります。
かといって小さなベットサイズではポットサイズも小さくなるうえに、フロップ以降でフラッシュやストレートを完成させるプレイヤーが出てくる可能性もあります。
そこでバリューベットをする際にはドローハンド(フラッシュやストレートが完成する可能性のあるハンド)を持つプレイヤーをフォールドさせつつ、ポットサイズを大きくできるベットサイズが必要になります。
ポーカーでは常に相手より強いハンドで勝つシチュエーションばかりではありません。むしろそのようなケースは少ないため、ブラフ(弱いハンドで相手をフォールドさせる)という行為が必要です。
ブラフベットには相手のコールあるいはレイズのリスクが伴います。この場合は自分がフォールドする時がありますが、ベットサイズが大きいと損失が大きくなります。
逆にブラフベットのサイズが小さいと、ドローハンドを持つ相手プレイヤーはフォールドするよりもコストを払ってボードを見に行くほうがよいと判断しコールしてきます。
ブラフベットはその両方を加味してベットサイズを決める必要があります。
ベットラウンドごとのベットサイズを以降で説明しますが、プリフロップからベットラウンドが進むごとにベットサイズは大きくなります。ゲームに参加するプレイヤーが少なくなりベットサイズが大きくなると、ポットオッズが小さくなり必要な勝率は高くなっていきます。
つまり相手プレイヤーのハンドレンジを徐々に狭めることができるということです。勝率に見合わないコールをするプレイヤーは不利となり、逆に自分が優位に立ちます。
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続いてベットラウンドそれぞれの適切なベットサイズを説明します。
プリフロップで3BBをレイズ、という表現をよく目にすると思います。オンラインポーカーでもプリフロップの時点で「3BB」というボタンが用意されています。
BBは「ブラインドベット」のことで、SB(スモールブラインド)は1/2BBを支払い、BB(ビッグブラインド)はBBを支払うルールです。そして自分の前のポジションがみなフォールドすれば、自分が最初にレイズする(オープンレイズする)プレイヤーとなります。
そこでのベットサイズを2.5BBから3BBとするのが適切とされています。
もし3BBをベットしてSBのみがコールしBBがフォールドしたならば、ポットオッズは次のようになります。
「(2+(2×3)×2)÷(2×3)=2.33(倍)」
そこで必要な勝率は43%ほどになり、これは「J2o」(「o」はオフスーテッド)程度からの参加と判断できます。つまり相手プレイヤーはそれよりも強いハンドを持つと判断し、それより弱いハンドならば自分が優位に立つということです。
もちろん自分の勝率も、そのベットに見合うものでなければなりません。
次にプリフロップでのリレイズについて考えてみます。リレイズのことを「3ベット」と呼びます。
自分が3BBを受けた時、コールではなく3ベットが有効なハンドがあります。たとえば「AA」や「KK」といったプレミアハンドを持つならば3ベットすべきです。これはドローハンドを持つ相手をフォールドさせる効果がありますし、「AK」や「AQ」といったハンドを持つ相手に対してはバリューベットとなります。
3ベットは相手のベット額の3~4倍が適切とされています。
仮にミドルポジションのプレイヤーが3BBをベットし、BBである自分がその4倍の3ベットをしたとします。この時、相手がコールするには次の勝率が必要です。
「(6×4)÷(1.5+2×3+6×4+6×3)×100=48.48(%)
相手プレイヤーは自分がこの勝率を持つハンドレンジにあるかどうかを判断し、さらにそれを超える勝率が必要になると計算します。そうでなければコールする価値はありませんし、勝率のないコールは長期的にチップを失う行為となります。
3ベットに対してさらにレイズされた場合には、よほど強いハンドでない限りはフォールドする判断が必要になるでしょう。
フロップでのベットサイズはポットの25%から66%程度になります。
もし開かれたボード(3枚のコミュニティカード)がドライ(フラッシュやストレートの可能性が低い)であれば、ベットサイズは小さくポットの25%から33%が適切とされます。これはドローハンドを持つプレイヤーにコールさせてポットを大きくするのが理由です。
ボードがウェット(フラッシュあるいはストレートの可能性がある)であればポットの66%以上が適切なベットサイズになります。これはドローハンドを持つプレイヤーをフォールドさせるためです。
ターンとリバーはさらにベットサイズを大きくします。ボードがドライであればポットの66%から75%程度、ウェットならポットの90%以上が適切とされます。
理由はフロップと同じく、相手をコールさせるかフォールドさせるかの違いです。
もちろん相手がレイズした場合には、勝率とポットオッズが合うかどうかを確認したうえでコールするかフォールドするかを判断しましょう。
相手のハンドレンジを狭める効果があるベットサイズは、プリフロップではBB(ブラインドベット)を基準に決めて、フロップ以降ではポットを基準に決めます。
ベットサイズを適切にすれば自分の勝率を考慮したうえで、相手のアクションに対してコールあるいはフォールドを選択できるようになります。
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